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学芸員コラムCOLUMN

2021年6月8日 更新 / 三甲美術館について

沙羅のお花について

6月になりました。段々と暑くなり、夏の訪れを感じますね。

 

さて、6月といえば沙羅双樹の花の時期です。5月24日、今年最初の沙羅の花が咲きました!

三甲美術館は別名「沙羅双樹の館(さらそうじゅのやかた)」と呼ばれ、館内周辺には約200本の木が植えられています。お花は可憐な白い花で、6月中旬に見頃を迎えます。

 

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」の平家物語の冒頭にあるように、沙羅の一日で散ってしまう儚いお花です。

 

当館の建物は元々三甲株式会社の福利厚生施設だったもので、沙羅の木は仏教に傾倒していた故・後藤甲子男(2代目会長)が平家の盛者必衰に習い“奢ることなく努めるように”と会社の繁栄や社員の奮闘を願って美術館に表現されたものになります。

 

新型コロナの影響で残念ながら今年も中止となってしまいましたが、毎年お花の時期に琵琶奏者の方をお呼びし、演奏会を行っています。沙羅の花、琵琶の音色が相まって幽玄の世界に浸ることができます。

(過去の筑前琵琶演奏会の様子)

補足ですが、日本では夏椿のことを沙羅双樹と呼んでおり、当館の沙羅双樹も夏椿にあたります。本来の沙羅双樹はインドのフタバガキ科のもので、日本の気候では育ちません。どちらも儚く散ってしまうところが似ていて、仏教が伝達しいく中で夏椿のことを沙羅双樹と呼ぶようになったそうです。

 

お花はこれから見頃の時期を迎えます。一年に一度のチャンス、この機会に是非ご覧ください。
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