お知らせ
所蔵品紹介
お問い合わせ
個人情報保護方針

学芸員コラムCOLUMN

2023年3月1日 更新 / 企画展について

文化勲章受章者展~日本画 春の絵編

冬の寒さが次第に和らぎ、春の気配が近付いてきましたね。
3月1日より「文化勲章受章者展~日本画 春の絵編」が開催されます。
文化勲章とは、昭和12年に制定された国の栄典の一つで、芸術や学問など文化の発達にめざましい功績を残した人物に贈られます。本企画展では、文化勲章を受章した日本画家に焦点を当て、当館所蔵の「春」をテーマにした作品を展示いたします。今回はその中から一部を紹介します。

 

・上村松園 「春駒」
京都府生まれ。美人画の名手として知られる女性画家。江戸や明治の風俗、和漢の古典に取材した美人画を描いて京都画壇で活躍し、1948年には女性として初めて文化勲章を受章する。また長男の松篁と孫の淳之も日本画家として活躍し、親子三代で文化勲章を受章した。
春駒とは、新春を祝う門付け芸の一つで、馬の頭を模した飾りを付けた竹を持って歌い踊る。上村は古画や歴史、古典文学、能などを徹底的に研究し、格調高く気品に満ちた女性像を見事に描いた。

 

・荒川豊蔵 「薄墨桜図」
岐阜県生まれ。昭和を代表する美濃焼の陶芸家。桃山時代の志野に陶芸の原点を求めて古い窯を築き、古志野の再現を目指して作陶を重ねた。
作品に描かれているのは岐阜県根尾村にある淡墨桜。淡墨桜は樹齢1500年を超える老樹で、淡いピンクのつぼみが満開になれば白に、そして散り際には淡い墨色になることから淡墨桜と名付けられたと言われている。山梨県の「山高神代桜」と福島県「三春滝桜」と並んで日本三大桜のひとつに数えられ、国の天然記念物に指定されている。

 

・福田平八郎 「春汀」
大分県生まれ。画家として活動を始めた頃は写実的な描写だったが、時代を経て大胆なトリミングやデザイン感覚が生かされた独自の画風を確立した。福田の作品の美しさは何と言っても簡潔で要約化された表現にある。本作品も背景のネコヤナギや水辺がシンプルな形に捉えられ、手前の鶺鴒を際立たせている。ネコヤナギは福田の家の庭にもあり、鶺鴒と合わせて親しい題材として好んで描いていた。

 

「文化勲章受章者展~日本画 春の絵編」は5月29日まで展示中です。また、3月1日~13日は「素顔のピカソ」展も同時開催しています。この機会にぜひご覧ください!